
ダイシングフレームとは?半導体ウェーハ加工での役割と選び方
ダイシングフレームは、ダイシングテープを固定し、ウェーハや切断後のチップを安定した状態で保持するための部品です。
半導体のダイシング工程では、1枚のウェーハを多数のチップに分割します。加工中や加工後にウェーハの位置がずれないよう、ダイシングテープとフレームを組み合わせて使用します。
見た目はシンプルな枠ですが、フレームの寸法や材質が装置に合っていないと、テープの固定、装置への装着、搬送、位置決めに支障が出ることがあります。そのため、ウェーハサイズだけでなく、使用するテープや装置、洗浄・再利用の有無まで含めて選定することが重要です。
この記事では、ダイシングフレームの基本的な役割、材質の違い、選定時に確認したいポイントを分かりやすく解説します。
ダイシングフレームとは
ダイシングフレームは、ウェーハを貼り付けたダイシングテープを固定するための枠です。
ウェーハを直接固定するのではなく、テープを介して保持します。ウェーハを切断した後も、個々のチップはテープ上に保持されるため、位置を保ったまま検査やピックアップなどの次工程へ移すことができます。
主な役割は次のとおりです。
- ダイシングテープを安定して固定する
- ウェーハの位置ずれを抑える
- 切断後のチップを保持する
- 工程間の搬送をしやすくする
- 装置内での位置決めを支える
ダイシングフレームは、フレーム単体で選ぶものではありません。ダイシングテープ、テープマウンター、ダイシング装置、搬送カセットとの組み合わせを確認したうえで選定します。
ダイシング工程でどのように使われるか
一般的な使用の流れは次のとおりです。
- ウェーハをダイシングテープに貼り付ける
- テープをダイシングフレームに固定する
- フレームごとダイシング装置へセットする
- ウェーハをチップ単位に切断する
- 切断後のチップを保持したまま次工程へ搬送する
ダイシングフレームは、切断時だけに使われるものではありません。切断前の搬送から、切断後の検査、ピックアップまで、複数の工程に関わります。
例えば、同じ8インチウェーハ用であっても、使用するテープマウンターや搬送カセットによって、必要なフレーム寸法が異なる場合があります。ウェーハ径だけで選ぶと、装置に装着できない、正しく位置決めできない、カセットに収納できないといった問題が起こる可能性があります。
ダイシングテープとの関係
ダイシングテープには、ウェーハと切断後のチップを保持する役割があります。テープの種類や特性については、LINTECが公開している半導体関連テープの製品情報も参考になります。
一方、ダイシングフレームは、テープを所定の形状に保ち、安定して固定する役割を担います。
テープとフレームの寸法が合っていないと、十分な貼り付け面積を確保できなかったり、安定した張りを保てなかったりすることがあります。
選定時には、次の条件を確認します。
- ウェーハサイズ
- ダイシングテープの外径
- テープの厚み
- フレームの内径と外形寸法
- テープの固定方法
- 使用するテープマウンター
- ダイシング装置の対応寸法
フレームの寸法が合っていても、テープや装置との組み合わせが適切でなければ、装置への装着や搬送に支障が出ることがあります。

金属製と樹脂製の違い
ダイシングフレームには、主に金属製と樹脂製があります。どちらが適しているかは、使用回数、洗浄方法、重量、剛性、使用環境によって異なります。
金属製ダイシングフレーム
金属製では、ステンレスなどが使用されます。
繰り返し使用する工程や、剛性と寸法安定性が求められる場合に選ばれることが多いタイプです。使用後に洗浄し、状態を確認しながら再利用することもできます。
主な特徴は次のとおりです。
- 変形しにくい
- 寸法を維持しやすい
- 繰り返し使用しやすい
- 洗浄や再生に対応しやすい
- 穴や切り欠きなどの追加工を行いやすい
再利用する場合は、接着剤の残り、傷、腐食、変形などを確認する必要があります。
樹脂製ダイシングフレーム
樹脂製は、軽量性や取り扱いやすさを重視する場合に使われます。材質や運用条件によっては、使い切り用途や色分けによる工程管理にも対応できます。
主な特徴は次のとおりです。
- 軽量で取り扱いやすい
- 色分けによる識別がしやすい
- 材質によってはコストを抑えやすい
- 使い切り運用にも対応しやすい
一方で、剛性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性は材質によって異なります。使用環境や工程条件に合った材料を選ぶことが重要です。
ダイシングフレームを選ぶ5つのポイント
1. ウェーハサイズ
最初に、ウェーハの直径と厚みを確認します。
ただし、6インチ、8インチ、12インチといったウェーハサイズだけで、フレームの寸法が決まるわけではありません。ダイシングテープの貼り付け範囲や装置側の対応寸法も確認する必要があります。
2. フレーム寸法
主に確認したい寸法は次のとおりです。
- 外形寸法
- 内径
- 厚み
- フレーム形状
- 穴や切り欠きの位置
現在使用しているフレームがある場合は、図面だけでなく、実物サンプルも仕様確認に役立ちます。
3. 材質
材質は、使用方法に合わせて選定します。
繰り返し使用し、洗浄を行う場合は、金属製が候補になります。軽量性や使い切りを重視する場合は、樹脂製が適していることがあります。
単純に単価だけで決めるのではなく、使用回数、洗浄コスト、交換頻度、変形リスクまで含めて検討することが大切です。
4. ダイシングテープとの適合性
ダイシングテープの外径や貼り付け範囲が、フレームに合っているかを確認します。
テープの種類によって、粘着性、厚み、伸び方が異なります。現在使用しているダイシングテープの仕様が分かれば、フレームとの適合性を確認しやすくなります。
5. 装置との適合性
フレームが装置内に入るだけでは十分ではありません。
次の点も確認します。
- 正しく位置決めできるか
- 搬送方向が合っているか
- テープマウンターで固定できるか
- 搬送カセットに収納できるか
- センサーやクランプと干渉しないか
装置図面がない場合でも、型式、写真、主要寸法があれば、初期段階での適合確認が可能です。
標準品とカスタム品
一般的な寸法や形状で設備に合う場合は、標準品を使用できます。
一方、次のようなケースでは、カスタム品や特注品が必要になることがあります。
- 標準寸法では装置に合わない
- 特殊なウェーハサイズを扱う
- フレームの厚みを変更したい
- 穴や切り欠きが必要
- 特定の搬送カセットに合わせたい
- ロゴ、品番、管理番号を入れたい
- 樹脂材質や色を指定したい
カスタム製作を依頼する際は、次の情報を準備しておくと、仕様確認がスムーズです。
- ウェーハサイズ
- フレーム図面
- 現在使用しているフレームのサンプル
- ダイシングテープの仕様
- 使用装置の型式や図面
- 必要数量
- 洗浄・再利用の有無
カスタム品というと、完全な新規設計を想像しやすいかもしれません。しかし実際には、厚み、穴位置、切り欠き、刻印など、一部の仕様だけを変更するケースもあります。
洗浄して再利用できるか
金属製ダイシングフレームは、使用後に洗浄し、再利用されることがあります。
ただし、外観がきれいになっただけで、再使用できるとは限りません。再利用前には、次の点を確認します。
- 接着剤が残っていないか
- フレームが変形していないか
- 傷や腐食がないか
- 寸法にずれがないか
- 装置に正しく装着できるか
特にフレームの変形は、テープの張りや装置内での位置決めに影響する可能性があります。
再利用可能な回数を一律に決めるのではなく、使用後の状態や工程条件を見ながら判断することが重要です。
YJステンレスのダイシングフレーム対応
YJステンレスでは、半導体ウェーハ工程で使用されるダイシングフレームをはじめ、保管ケースや搬送カセットなどの関連製品を取り扱っています。
用途や設備条件に合わせて、次のような仕様についてご相談いただけます。
- 金属製・樹脂製ダイシングフレーム
- 寸法や厚みの変更
- 穴・切り欠き加工
- レーザー刻印
- フレームの洗浄・再生
- 保管ケースや搬送カセット
- 使用装置に合わせたカスタム設計
標準品が装置や工程に合わない場合は、現在使用しているフレーム、図面、ダイシングテープの仕様、装置情報をご提示ください。内容を確認したうえで、用途や設備条件に合った仕様をご提案します。
ダイシングフレームの選定やカスタム製作については、YJステンレスまでお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
1. ダイシングフレームとウェーハフレームは同じですか?
メーカーや現場によっては、同じような意味で使われることがあります。ただし、用途や形状、対象工程が異なる場合もあるため、名称だけで判断せず、寸法や使用条件を確認してください。
2. 金属製と樹脂製はどちらが適していますか?
繰り返し使用、剛性、洗浄性を重視する場合は、金属製が候補になります。軽量性や使い切り運用を重視する場合は、樹脂製が適していることがあります。
3. ダイシングフレームはカスタム製作できますか?
はい。寸法、厚み、材質、穴、切り欠き、刻印などを、設備や工程に合わせて変更できます。
4. フレームを選ぶ際に必要な情報は何ですか?
ウェーハサイズに加えて、フレーム寸法、ダイシングテープの仕様、使用装置の情報が重要です。現在使用しているフレームがある場合は、図面や実物サンプルも仕様確認に役立ちます。