
ダイシングフレームの特注製作とは?図面・寸法・装置条件の確認ポイント
標準品のダイシングフレームでは、使用中の装置や搬送カセットに合わないことがあります。
同じウェーハサイズ向けでも、フレームの外形寸法、内径、厚み、穴位置、切り欠き形状は製品によって異なります。わずかな寸法差でも、装置への装着や位置決め、搬送に影響する場合があります。
このようなときに検討されるのが、ダイシングフレームの特注製作です。
特注製作では、単にサイズを変更するだけでなく、使用するダイシングテープ、装置、搬送カセット、後工程まで確認することが重要です。
この記事では、特注品が必要になるケースと、問い合わせ前に準備したい情報を解説します。
ダイシングフレームの基本については、「ダイシングフレームとは?役割・材質・選び方を解説」もあわせてご覧ください。
ダイシングフレームの特注製作が必要になるケース
標準品が使用条件に合わない場合でも、すべての仕様を一から設計するとは限りません。
現在使用しているフレームを参考にしながら、一部の寸法や形状を変更して対応を検討するケースもあります。
例えば、次のような場合です。
- 標準品の外形寸法が装置に合わない
- 搬送カセットに収納できない
- 穴や切り欠きの位置が異なる
- フレームの厚みを変更したい
- 軽量化のため樹脂製を検討したい
- 品番や管理番号を表示したい
- 既存品を参考に同等用途のフレームを製作したい
特注製作を検討するときは、最初に「現在のフレームで何に困っているのか」を整理することが重要です。
特注時に確認したい5つの仕様
1. 外形寸法と内径
外形寸法は、テープマウンター、ダイシング装置、搬送カセットとの適合性に関係します。
内径は、ウェーハサイズだけでなく、ダイシングテープの貼り付け範囲や装置側の保持条件も考慮して確認します。
同じ8インチウェーハ向けでも、装置やテープが異なれば、必要なフレーム寸法が同じとは限りません。
2. 厚み
厚みを変更すると、重量だけでなく、剛性、平坦性、装置内での高さ、クランプ状態にも影響します。
薄くする場合は、搬送時に変形しないか確認が必要です。厚くする場合は、装置やカセット内のクリアランスを確認します。
YJステンレスの金属製カスタムフレームでは、製品によって1.2Tから2.0Tの厚みに対応する例が公開されていますが、実際の対応範囲は形状や用途によって確認が必要です。
3. 穴・切り欠き・位置決め形状
フレームの穴や切り欠きは、装置への位置決めや挿入方向の確認に使われる場合があります。
確認したい項目は次のとおりです。
- 穴径と穴位置
- 切り欠きの幅と深さ
- 位置決め部の形状
- 挿入方向
- クランプとの接触位置
形が似ていても、穴位置が数ミリ異なるだけで装着できない可能性があります。図面では、基準位置からの寸法を明確にします。
4. 材質と表面仕上げ
ダイシングフレームには、ステンレスなどの金属製と樹脂製があります。YJステンレスは、ステンレス製のカスタムフレームに加えて、6インチ、8インチ、12インチの樹脂製ウェーハフレームも取り扱っています。
材質を変えると、次の条件も変わります。
- 重量
- 剛性
- 寸法安定性
- 洗浄方法
- 繰り返し使用への適性
- 静電気対策の条件
金属製から樹脂製へ置き換える場合は、同じ寸法で製作できるかだけでなく、装置や工程で使用できるかを確認します。
表面仕上げについては、光沢仕上げやヘアライン仕上げなどが公開されています。
5. 刻印と識別表示
フレームには、管理やトレーサビリティのため、文字や識別情報を表示できます。
例として、次のような内容があります。
- 品番
- シリアル番号
- ロット番号
- 会社名
- ロゴ
- 二次元コード
YJステンレスは、CNC加工とレーザー刻印をカスタム加工サービスとして公開しています。
刻印位置は、テープの貼り付け面や装置との接触部分を避けて設定します。

図面で確認したい項目
特注製作では、外形寸法だけでなく、装置との位置決めに関係する部分も確認します。
- 外形寸法
- 内径
- 板厚
- 穴径と穴位置
- 切り欠きの寸法と向き
- 平坦度
- 角部の形状
- バリや面取り
- 表裏の識別
- 表面状態
- 刻印位置
公差や平坦度は、すべて厳しくすればよいわけではありません。
装置の位置決め、クランプ、搬送に関係する部分を中心に、必要な精度を整理することが大切です。
YJステンレスは、フレームの平坦度、清浄度、表面粗さなどの品質測定・検査をサービス内容として公開していますが、具体的な公差や対応範囲は用途ごとの確認が必要です。
図面がない場合はどうする?
図面がない場合でも、現在使用しているフレームの実物サンプルや写真があれば、主要寸法や形状を確認できる場合があります。
準備したい資料は次のとおりです。
- 実物サンプル
- 正面と裏面の写真
- 主要寸法を記入したスケッチ
- 使用装置のメーカーと型式
- 現在発生している問題
ただし、実物測定だけでは、元の材質規格、公差、表面処理、製造条件を完全に特定できないことがあります。
「同じものを複製する」というよりも、現在の製品を参考に、必要な機能と寸法を整理する考え方が適切です。
問い合わせ時に準備したい情報
特注製作の問い合わせでは、次の情報があると仕様確認を進めやすくなります。
- ウェーハの直径と厚み
- フレームの図面または実物サンプル
- ダイシングテープの製品名、外径、厚み
- テープマウンターとダイシング装置のメーカー・型式
- 搬送カセットの仕様
- 変更したい箇所と現在の問題
- 試作数量と量産予定数量
ダイシングテープとの組み合わせについては、「ダイシングフレームとダイシングテープの関係とは?役割と選定ポイント」をご覧ください。
試作時に確認したいこと
特注品は、図面上で問題がなくても、実際の装置で確認しなければ分からない点があります。
試作時には、次の内容を確認します。
- テープを問題なく貼り付けられるか
- 装置へ装着できるか
- 正しく位置決めできるか
- クランプやセンサーと干渉しないか
- 搬送カセットに収納できるか
- 搬送中に引っ掛かりや変形がないか
最終的な適合性は、試作品を使用して実機で確認することが重要です。
YJステンレスのダイシングフレーム対応
YJステンレスは、40年以上の製造経験を持つISO 9001認証取得メーカーとして、半導体向けウェーハフレームの製造、カスタム加工、洗浄、再生加工に対応しています。
次のような内容をご相談いただけます。
- 金属製・樹脂製ダイシングフレーム
- 外形寸法、内径、厚み、形状のカスタム
- 穴や切り欠きなどのCNC加工
- レーザー刻印
- 表面仕上げ
- ウェーハフレームの洗浄
- 再研磨、補修、再生加工
- 表面粗さや平坦度などの品質確認
- 搬送カセットや保管ケースの提案
洗浄、再研磨、再生、CNC加工、レーザー刻印、表面粗さ管理、品質測定は、YJステンレスの公式サービスページに明記されています。
使用装置、ウェーハサイズ、ダイシングテープ、必要数量を確認したうえで、対応可能な仕様を検討します。
ダイシングフレームの特注製作については、YJステンレスまでお気軽にお問い合わせください。
まとめ
ダイシングフレームの特注製作では、外形寸法や厚みだけでなく、穴位置、切り欠き、材質、表面状態、使用装置まで確認する必要があります。
問い合わせ前に、次の情報を準備すると仕様確認が進めやすくなります。
- 図面または実物サンプル
- ウェーハとテープの仕様
- 使用装置と搬送カセット
- 変更したい箇所
- 試作数量と量産予定数量
特注品は、図面上の寸法だけで判断せず、試作品を使って実際の装置で確認することが大切です。
よくある質問
1. 標準品の一部だけ変更できますか?
形状や加工条件によっては、厚み、穴位置、切り欠き、刻印など、一部の仕様だけを変更できる場合があります。
2. 現在使用しているフレームを参考に製作できますか?
図面や実物サンプルをもとに、主要寸法や形状を確認できます。ただし、実物だけでは元の材質規格や公差を完全に特定できない場合があります。
3. 金属製から樹脂製へ変更できますか?
検討できる場合があります。ただし、剛性、重量、寸法安定性、洗浄条件が変わるため、装置や工程条件の確認が必要です。
4. 少量試作は必要ですか?
新しい寸法や材質を採用する場合は、量産前に試作品で装着、位置決め、搬送性を確認する方法が適しています。