
グリップリングとダイシングフレームの違い|用途・構造・選び方を比較
グリップリングとダイシングフレームは、どちらも半導体後工程でウェーハやダイシングテープを扱うために使われます。
ただし、主な役割は異なります。
ダイシングフレームは、ウェーハとダイシングテープを支持し、主にダイシング工程で使用します。
グリップリングは、ダイシング後に拡張したテープを固定し、チップ間隔を保持するために使用します。
見た目や対応ウェーハサイズが近くても、そのまま置き換えたり、同じ装置や搬送ケースを共用できるとは限りません。
この記事では、両者の違いを「使用工程」「構造」「共用可否」「既存品の置き換え」という視点から整理します。
グリップリングとダイシングフレームの違いを先に比較
| 比較項目 | グリップリング | ダイシングフレーム |
|---|---|---|
| 主な役割 | 拡張後のテープを固定し、チップ間隔を保持する | ウェーハとダイシングテープを支持する |
| 主な使用工程 | テープエキスパンド後からピックアップ工程 | ウェーハマウントからダイシング工程 |
| 代表的な構造 | インナーリング+アウターリング | 一体型の金属または樹脂フレーム |
| テープの保持方法 | リング間に挟み込んで固定する | フレーム表面へテープを貼り付ける |
| 共用判断で見る点 | 外形、厚み、嵌合後の高さ、装置条件 | 外形、板厚、穴・ノッチ、装置条件 |
| 置き換え | ダイシングフレームとは役割が異なり、単純な置き換えはできない | グリップリングとは役割が異なり、単純な置き換えはできない |
最も大きな違いは、使用する工程とテープの保持方法です。
グリップリングはエキスパンド後のテープを保持する
グリップリングは、ダイシング後に拡張したテープを保持し、広げたチップ間隔を維持するために使用します。
代表的なタイプは、インナーリングとアウターリングを組み合わせる構造です。
ダイシングテープをエキスパンダーで広げたあと、両リングでテープを固定します。
グリップリングの詳しい構造やサイズ選定については、別の記事「半導体用グリップリングとは?構造・用途・選び方」で詳しく解説します。
ダイシングフレームはダイシング工程でウェーハを支持する
ダイシングフレームは、ダイシングテープを保持し、その上に貼り付けたウェーハをダイシング工程で扱うためのフレームです。
一般的には、テープをフレームへ貼り付け、その中央部にウェーハをマウントします。
その状態でダイシング装置へセットし、ウェーハを個々のチップへ分割します。
製品によって、外形寸法、板厚、穴やノッチの位置、材質などが異なります。
また、「ウェーハフレーム」「ウェーハリング」「リングフレーム」など、メーカーや現場によって異なる名称が使われる場合があります。
そのため、名称だけで判断せず、製品構造と使用工程を確認することが重要です。
工程で見ると違いがわかりやすい
グリップリングとダイシングフレームは、同じ半導体後工程で使われることがありますが、使用するタイミングが異なります。
一般的な流れは次のとおりです。
- ダイシングテープをダイシングフレームへ固定する
- ウェーハをテープへマウントする
- ウェーハをダイシングする
- ダイシング後のテープをエキスパンドする
- グリップリングで拡張状態を保持する
- 検査・搬送・ピックアップ工程へ移す
設備構成によって工程順序は異なりますが、基本的には、
ダイシング工程での支持=ダイシングフレーム
エキスパンド後の保持=グリップリング
と考えると違いを理解しやすくなります。
グリップリングとダイシングフレームは置き換えられる?
基本的には、同じ機能を持つ部材として単純に置き換えるものではありません。
ダイシングフレームはダイシング工程でウェーハとテープを支持し、グリップリングはエキスパンド後のテープを保持するために使用します。
ただし、既存ラインの変更や装置更新時には、フレーム、グリップリング、搬送ケースをまとめて見直す場合があります。

搬送ケースは同じものを使える?
搬送ケースによっては、グリップリングとダイシングフレームの両方に対応できる場合があります。
ただし、ケースに入ることと、安全に保持・搬送できることは別です。
確認したいのは、主に次の4点です。
- 最大外形
- 厚み
- スロット形状
- ケース内部の保持位置
リングやフレームがケース内で動かないこと、テープ面やチップへ不要な接触がないことも確認します。
搬送ケースの詳しい選び方については、グリップリング搬送ケースの記事で詳しく解説します。
使用目的からどちらを選ぶ?
| 使用目的 | 主に確認する製品 |
|---|---|
| ダイシング工程でウェーハを支持したい | ダイシングフレーム |
| ダイシング後にテープを拡張したい | エキスパンダー |
| 拡張後のチップ間隔を保持したい | グリップリング |
| 工程間で搬送・保管したい | 対象製品に対応した搬送ケース |
| 既存品を置き換えたい | 現在使用中の型式・図面・実寸を基準に確認 |
どちらを選ぶか迷った場合は、「何インチか」よりも、どの工程で何をしたいのかから考えると判断しやすくなります。
YJステンレスでの選定・組み合わせ
YJステンレスでは、グリップリング関連製品とダイシングフレーム関連製品の両方を取り扱っているため、使用工程に合わせて、リングやフレーム本体だけでなく、搬送・保管方法まで含めて確認できます。
リング単体ではなく、使用工程・装置・搬送方法を含めた組み合わせで仕様を確認することが重要です。
ダイシング工程では、フレームの外形や板厚、位置決め形状が重要になります。
一方、エキスパンド後の工程では、グリップリングの外形や嵌合状態に加えて、搬送ケース内でどの位置を保持するかも確認が必要です。
特に既存ラインで使用している製品から切り替える場合は、単に「同じ6インチ」「同じ8インチ」という条件だけでは判断できません。
重要なのは、現在の工程でどの部材を使い、どの装置やケースへ受け渡しているかです。
現在使用している製品の型式や図面がある場合は、それらをもとに、外形、厚み、位置決め形状、装置条件、搬送方法の違いを確認しやすくなります。
グリップリングとダイシングフレームのどちらを選ぶべきか、また既存設備や搬送ケースとの組み合わせを確認したい場合は、現在の使用工程、型式、図面、必要数量をご準備のうえ、YJステンレスまでお問い合わせください。
まとめ
グリップリングとダイシングフレームの最も大きな違いは、使用工程と役割です。
- ダイシングフレーム:ウェーハとダイシングテープを支持し、主にダイシング工程で使用する
- グリップリング:ダイシング後に拡張したテープを固定し、チップ間隔を保持する
同じウェーハサイズ向けでも、本体の外形や厚み、位置決め構造は異なる場合があります。
既存品の置き換えや搬送ケースの選定では、名称や「6インチ」「8インチ」といった表示だけで判断せず、実際の図面寸法、装置側の保持条件、搬送ケース内の保持位置まで確認することが重要です。
よくある質問
1. グリップリングとダイシングフレームは同じものですか?
同じものではありません。
ダイシングフレームは主にダイシング工程でウェーハとテープを支持し、グリップリングはエキスパンド後のテープを保持するために使用します。
2. ウェーハリングはどちらを指しますか?
名称だけでは判断できません。
メーカーや現場によって、ダイシングフレームを指す場合もあれば、リング状の保持部材を広く指す場合もあります。
製品の構造と使用工程を確認してください。
3. 同じウェーハサイズなら共用できますか?
必ずしもできません。
対応ウェーハサイズが同じでも、外形、厚み、位置決め構造、装置条件などが異なる場合があります。
4. 同じ搬送ケースに収納できますか?
ケースの内部構造によります。
最大外形、厚み、スロット形状、保持位置が対象製品に合っているか確認してください。