
ウェーハスタックケースとは?積層収納の仕組み・用途・選び方
ウェーハスタックケースは、複数枚のウェーハを水平に配置し、必要に応じてスペーサーなどの層間部材を介しながら積層収納するケースです。
ウェーハカセットのように各ウェーハをスロットへ分けて収納する方式とは異なり、複数枚を上下方向に配置して保管・搬送します。
ウェーハスタックボックスやウェーハストレージボックスと呼ばれる場合もありますが、保持方法やウェーハ間の間隔、使用する層間部材、収納枚数などは製品によって異なります。
そのため選定時は、対応インチや収納枚数だけを見るのではなく、ウェーハをケース内部でどのような状態にして積層するのかまで確認する必要があります。
この記事では、ウェーハスタックケースの基本的な考え方、用途、ウェーハカセットやシングルウェーハシッパーとの違い、選定時に見ておきたいポイントを整理します。
ウェーハスタックケースとは
ウェーハスタックケースは、複数枚のウェーハを水平に配置しながら収納するケースです。
製品によっては、ウェーハ間にスペーサーや仕切り材などを使用して収納するタイプがあります。
一方で、保持方法やウェーハとの接触位置は製品によって異なるため、実際の内部構造は製品仕様や図面で確認します。
重要なのは、収納枚数だけでなく、各ウェーハの間隔や接触位置まで確認することです。
「スタックケース」という名称だけでは、ウェーハ間の接触状態や保持方法までは判断できません。
どんなときに使われる?
ウェーハスタックケースは、複数枚のウェーハを水平に収納し、1つのケースでまとめて保管・搬送したい場合の選択肢になります。
カセットのようなスロット収納ではなく、積層状態での取り扱いが必要な場合に比較されます。
ただし、実際の用途は製品構造や工程条件によって異なるため、収納後の取り出し方や次工程への受け渡しも確認します。
ウェーハスタックケースとウェーハカセットの違い
ウェーハスタックケースとウェーハカセットは、どちらも複数枚のウェーハを扱えるキャリアですが、基本的な収納方法が異なります。
| 比較項目 | ウェーハスタックケース | ウェーハカセット |
|---|---|---|
| 収納方法 | 水平方向に積層して収納 | スロットごとに分けて収納 |
| 収納単位 | 複数枚 | 複数枚 |
| 選定で見る条件 | ウェーハ径、厚み、収納枚数、総積層高さ、層間条件 | ウェーハ径、収納枚数、スロット条件、保持条件 |
| 取り出し | 積層状態に応じた取り出し | 各スロットから取り出す |
大きな違いは、積層して収納するか、スロットで分けて収納するかです。
同じサイズのウェーハを複数枚収納できる製品でも、内部構造や取り扱い方法は異なります。

シングルウェーハシッパーとの違い
シングルウェーハシッパーは、ウェーハを1枚ずつ個別に収納するケースです。
一方、ウェーハスタックケースは、複数枚を1つのケース内で積層して扱う点が異なります。
1枚単位での個別管理を重視するのか、複数枚をまとめて収納するのかによって候補が変わります。
対応インチだけで選ばない
ウェーハスタックケースを選ぶとき、最初に確認するのは対応するウェーハ径です。
ただし、対応インチが合っているだけで実際の収納条件に合うとは限りません。
同じウェーハ径でも、
- ウェーハ厚み
- 収納枚数
- 層間部材の有無
- ケース内部の有効高さ
- 蓋とのクリアランス
によって、積層したときの状態が変わります。
対応インチは候補を絞るための条件であり、積層状態まで含めた適合性を示すものではありません。
収納枚数だけでなく「総積層高さ」を見る
ウェーハスタックケースでは、収納枚数だけでなく、実際に収納したときの総積層高さを見ることが重要です。
収納するウェーハが増えると、ウェーハ自体の厚みに加えて、スペーサーなどの層間部材を使用する場合は、その厚みも総積層高さに影響します。
確認したいのは、
- ウェーハ1枚の厚み
- 収納する枚数
- ウェーハ間の間隔
- スペーサーなどを使用する場合の厚み
- ケース内部の有効高さ
- 蓋を閉じた状態でのクリアランス
です。
同じ収納枚数でも、ウェーハ厚みや層間条件が異なれば、必要な内部高さは変わります。
そのため、「何枚収納できるか」だけではなく、実際に積層した状態でケース内部に収まるかを確認します。
ウェーハ間の接触条件を確認する
積層収納では、ウェーハ同士やスペーサーなどの層間部材が、どのような位置関係になるかも確認します。
製品によっては、ウェーハ間にスペーサーや仕切り材を使用するタイプがあります。
その場合は、
- ウェーハとスペーサーなどの層間部材との接触位置
- ウェーハ間にどの程度の間隔ができるか
- 使用する層間部材の形状や厚み
- 取り出すときのアクセス方法
などを製品仕様と照らし合わせます。
特にウェーハ面への接触条件を管理したい場合は、収納枚数だけでなく、層間部材とウェーハの位置関係まで確認します。
「積層収納」という名称だけでは、ウェーハ間の接触状態までは判断できません。
蓋を閉じた状態でのクリアランスを見る
ケース本体にすべてのウェーハが収まっていても、蓋を閉じた状態で十分なクリアランスがあるとは限りません。
スタックケースでは複数枚を上下方向に収納するため、総積層高さと蓋内側との位置関係も確認します。
見るポイントは、
- 総積層高さ
- 最上段のウェーハ位置
- 蓋内側との位置関係
- 蓋を閉じた状態での有効クリアランス
です。
ケース本体の深さだけでなく、蓋を閉じた状態で実際に使える内部高さまで確認します。
取り出し方と次工程への受け渡しも確認する
スタックケースでは、収納後にウェーハをどのように取り出すかも確認します。
積層状態から取り出すのか、層間部材を扱いながら取り出すのか、別のキャリアへ移載するのかによって、必要な作業性は変わります。
収納できるかだけでなく、取り出しと次工程への受け渡しまで含めて比較します。
ウェーハスタックケースを選ぶときの確認ポイント
製品を比較するときは、次の項目を整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| ウェーハ径 | 対象ウェーハのサイズに対応しているか |
| ウェーハ厚み | 製品の想定条件に合っているか |
| 収納枚数 | 必要な枚数を収納できるか |
| 総積層高さ | ウェーハと層間部材を含めた高さが収まるか |
| 層間条件 | ウェーハ間の間隔や層間部材の有無・仕様が使用条件に合うか |
| 保持・接触位置 | ウェーハとケース・層間部材がどこで接触するか |
| 内部クリアランス | 周囲・上部に必要な空間があるか |
| 取り出し方法 | 実際の作業や次工程に合うか |
| 必要に応じた材質・ESD仕様 | 工程側の要求条件と製品仕様が合っているか |
スタックケースで特に見落としたくないのは、収納枚数・総積層高さ・層間条件です。
YJステンレスのウェーハスタックケース
YJステンレスでは、6インチ・8インチ・12インチのウェーハスタックケースをラインアップしています。
現行ラインアップは、6インチ用 TJF-P6、8インチ用 TJF-P8、12インチ用 TJF-P12 です。
ウェーハを水平に収納し、複数枚のウェーハの保管や搬送に使用できます。
公開仕様では、以下の収納枚数が案内されています。
| 型式 | 対応サイズ | 収納枚数 |
|---|---|---|
| TJF-P6 | 6インチ | 25枚 |
| TJF-P8 | 8インチ | 25枚 |
| TJF-P12 | 12インチ | 13枚 |
TJF-P6、TJF-P8、TJF-P12は、公開されている製品資料でPP製・ESD仕様が案内されています。
また、TJF-P6とTJF-P8では、ウェーハを分けて収納するためのスペーサーを使用できる仕様が案内されています。
製品を比較する際は、対応インチや収納枚数だけでなく、
- ウェーハ厚み
- スペーサーを使用する場合の条件
- 積層した状態での高さ
- ウェーハ間の状態
- 工程側で必要なESD条件
なども実際の使用条件と照らし合わせます。
使用するウェーハや収納条件がわかっている場合は、ウェーハ径、厚み、必要収納枚数、使用工程などとあわせてYJステンレスまでお問い合わせください。
まとめ
ウェーハスタックケースは、複数枚のウェーハを水平に配置し、積層した状態で保管・搬送するためのケースです。
選定時は、特に次の点を確認します。
- ウェーハ径・厚み
- 収納枚数
- 総積層高さ
- 層間・接触条件
- 蓋とのクリアランスと取り出し方法
特に重要なのは、「何枚入るか」だけではなく、「その枚数をどのような状態で積層するか」を見ることです。
同じ収納枚数でも、ウェーハ厚みやスペーサーなどの層間条件が異なれば、必要な内部高さや収納状態は変わります。
製品名や対応インチだけで判断せず、実際の積層状態まで含めて比較することが、ウェーハスタックケースを選ぶ基本になります。
よくある質問
1. ウェーハスタックケースとは何ですか?
複数枚のウェーハを水平に配置し、必要に応じてスペーサーなどの層間部材を介しながら積層収納するケースです。
ウェーハ間の保持方法や層間部材の有無は、製品によって異なります。
2. ウェーハスタックケースとウェーハカセットの違いは何ですか?
基本的な違いは収納方法です。
ウェーハスタックケースは複数枚を積層して収納するのに対し、ウェーハカセットは各ウェーハをスロットごとに分けて収納します。
3. 収納枚数が合えば使用できますか?
収納枚数だけでは判断できません。
ウェーハ厚み、層間条件、総積層高さ、接触位置、蓋とのクリアランスなども確認します。
4. ウェーハを直接重ねて収納しますか?
製品によって異なります。
スペーサーや仕切り材などを使用するタイプもあるため、実際のウェーハ間の状態を製品仕様で確認します。
5. ESD仕様は必要ですか?
必要性は使用工程や管理条件によって異なります。
YJステンレスのTJF-P6、TJF-P8、TJF-P12は、公開されている製品資料でESD仕様が案内されています。
実際の選定では、工程側で求められるESD条件と各製品の仕様を照らし合わせます。